査定のコツ

縫い目をたどる、着物のしまい支度

査定のコツ

着物を着たあと、どこを基準に折ればよいか迷うことがあります。着物 たたみ方の基本は本だたみで、背縫いや脇、衽の縫い目を合わせながら形を整えます。

振袖や浴衣もこの流れを基本にできますが、長襦袢や袴は元の折り目や案内を確認すると安心です。陰干ししてからたたむ手順や、たとう紙での収納、紋や加工部分を守る方法まで整理します。

ポイント
  • 裾を右にして広げ、脇と衽の縫い目を目印に本だたみを進めましょう
  • 着用後は直射日光を避けて陰干しし、汚れや湿気を確かめてから収納しましょう
  • 振袖や浴衣も縫い目を合わせ、長襦袢は元から付いた折り目を確認しましょう
着物をしまうまでの判断と作業を俯瞰できる、縦長の手順フローチャート

着物のたたみ方は本だたみが基本|縫い目に沿う手順

裾を右にして平らに広げ、背縫いを中心に合わせる

本だたみは、着物を縫い目に沿って重ねる基本のたたみ方です。染めや織りを問わず、多くの着物の保管に用いられます。種類に迷ったときも、まず縫い目を基準にする流れを確認しましょう。

着物の裾を右にして、表を上に平らに広げます。中央を縦に通る背縫いを探し、背縫いで折って左右の身頃を重ねます。背縫いは後ろ身頃の中心にある縫い目なので、左右の位置を見比べる目印になります。

着物を裾が右になる向きに広げ、縫い目を目印に一段ずつ折るところから始めてみましょう。背縫いが中心からずれていたら、次の折り目へ進む前に布を戻して整えます。布を強く引いて形を合わせず、表面のたるみも一緒に確認すると扱いやすくなります。

順広げる向き合わせる縫い目折る部分
1裾を右にする背縫いを中心にする左右の身頃
2向きを保つ左右の脇縫い身頃の脇を重ねる
3向きを保つ左右の衽の縫い目前身頃を重ねる
4身頃を整える袖の端と袖付け袖を重ねて身頃を二つ折りにする
本だたみの工程と合わせる位置

表の順に、背縫いから脇縫い、衽の縫い目へと確認する場所を移します。袖は身頃を整えた後に重ねる流れです。

縫い目がずれたまま次へ進むと、ずれが重なりやすくなります。一段ごとに位置を見直すと、どこまで整えたかも追いやすくなります。

脇縫いと衽の縫い目を合わせて身頃を重ねる

背縫いを合わせたら、左右の脇縫いが重なるように身頃を整えます。脇縫いは身頃の脇にある縫い目で、位置がそろうと左右の布の重なりを確認しやすくなります。どちらかの縫い目だけがずれていたら、身頃を少し戻して合わせ直しましょう。

続いて、衽の縫い目を目印に前身頃を重ねます。衽は前身頃に付いた細長い部分です。左右の衽の縫い目を合わせながら、衿元から裾へ目を移し、途中で布がたるんだり折れ込んだりしていないか確かめます。

見た目の端だけをそろえると、縫い目がずれたまま重なることがあります。端が合っていても、途中の脇縫いや衽の縫い目が波打っていれば、一度広げて位置を調整します。縫い目に沿って整えると、折る場所を判断しやすくなります。

袖を身頃に重ねて二つ折りにする

身頃の形が整ったら、袖を身頃の上に重ねます。袖の端と袖付けの位置を見て、袖が身頃からはみ出していないか、内側に巻き込まれていないかを確かめます。袖を先に折り込むより、身頃を整えてから重ねると順番が分かりやすくなります。

袖を置いたら、衿や裾の端がそろっているかを見てから、身頃を二つ折りにします。折り目の内側に袖や余分な布が挟まっていると、そこだけ厚くなりやすいため、折る前に手で軽く確かめましょう。

二つ折りにした後は、全体を見渡して縫い目と袖の位置を確認します。折り目に布の端が集まっていたり、衿が大きくずれていたりする場合は、無理に押さえず一度戻して整えます。最後に形が落ち着いていれば、本だたみの基本の工程は完了です。

本だたみの手順を実際の動きで確認できる動画です。背縫いや脇縫いをどの順番で合わせ、袖をどこに重ねるのかを見ながら読むと、折る位置をイメージしやすくなります。

動画: きもののたたみ方 【本だたみ】|美しいキモノ(美しいキモノ)

着物をたたむ前に作業場所と着物の状態を整える

周囲を片付けて平らな場所にシートを敷く

着物を広げる場所は、床でも作業台でもかまいません。袖や裾を広げたときに家具や壁へ触れないよう、周囲の荷物や椅子を先に移します。床と作業台のどちらを使う場合も、着物を動かせる余白があるかを見ておくと安心です。場所が狭いと、布を引き寄せる際に端が床へ落ちることがあります。

作業台の上を片付け、清潔なシートを敷いてから着物を広げます。床を使う場合も、ほこりや髪の毛を取り除いてからシートを敷きましょう。シートは着物全体を受け止められる大きさを選び、作業面からはみ出していないか確かめます。清潔で平らな作業面を先につくると、汚れを防ぎ、布の位置も整えやすくなります。

シートは、凹凸や硬い飾りがなく、布を動かしても引っかかりにくいものが向いています。濃い色の布や汚れが付いたシートは、色移りや汚れの原因になることがあるため避けると安心です。着物を広げた後は、シートの端が下に巻き込まれていないか、袖や裾の下も確認します。端が重なっていたら、着物を引っぱらず、シートを整えてから折り始めましょう。

小物を外し、表地に引っかかるものがないか確認する

帯締めや帯揚げなど、着物に合わせていた小物は広げる前に外し、着物から離れた場所にまとめておきます。髪飾りや帯留めが残っていると、布の上に落ちたり、折り重ねた部分を押したりすることがあります。小物を一か所にまとめておけば、着物をたたんでいる途中に探す手間も減ります。外したものが着物の下に紛れていないかも、広げる前に見ておきましょう。

着物に付いたピンやクリップも外し、衿や袖口に金具が残っていないか確認します。指輪や腕時計、衣服のファスナーなど、手元や周囲に突起があると、布を動かしたときに引っかかる場合があります。着物を扱う前に外すか、触れない位置へ移しておくと作業しやすくなります。袖を持ち上げるときに手元が触れやすいので、作業を始める前に手や周囲を一度見直すのもよいでしょう。

広げた着物は、衿、袖口、裾の順に目で追い、ほつれや目立つ汚れがないか確認します。袖や裾を無理なく少し動かすと、重なっていた部分も見やすくなります。汚れを見つけた場合は、場所を覚えておき、たたむ前に状態を確かめましょう。表地にほつれや目立つ汚れがあっても、収納前にこすらず、気になる箇所を専門店などへ相談する方法があります。

振袖・浴衣・長襦袢など種類別のたたみ方と注意点

振袖や訪問着は本だたみを基本に縫い目を合わせる

振袖や訪問着は、華やかな柄や長い袖があっても、本だたみを基本にできます。種類が違っても、縫い目を目印にするのが基本です。身頃の線をそろえて折ると、どこを基準にするか迷いにくくなります。

裾を右にして広げ、背縫いを中心に左右の脇縫いと衽の縫い目を合わせます。片側の身頃を重ねたら、袖を身頃に沿わせ、反対側の袖も重ねてから二つ折りにします。振袖は袖が長いため、袖口を引っ張らず、端を支えて整えると扱いやすいでしょう。

浴衣は着物と同じ流れで衿や袖を整える

浴衣も、たたむ順番は着物と同じ流れで進められます。着用後に汗や湿気が残っている場合は、たたむ前に状態を確かめておくと安心です。柄の向きより、縫い目や衿の位置を目印にして形を整えます。

裾を右にして平らに置き、背の中心や脇の縫い目を合わせながら身頃を重ねます。衿が浮いたり折れたりしたまま袖を重ねると、折り目が増えることがあるため、衿先まで手でならしてから整えましょう。浴衣も縫い目に沿って折るのが目安です。

長襦袢や袴は元の折り目や返却方法を確認する

長襦袢はたたみ方に複数のパターンがあり、着物と同じ形に無理に合わせなくてもかまいません。元から付いている折り目があれば、その線をたどる方法もあります。衿や袖が重なって厚くなるときは、折り目と全体の形を見ながら整えます。

袴は着物とは形が異なるため、保管する品かレンタル品かを分けて考えましょう。レンタル品は、返却時のたたみ方が本来の保管方法と異なる場合があります。手元の衣類の種類を確認し、長襦袢は元の折り目、レンタル品は返却案内を見てからたたむと、手順を選びやすくなります。迷ったときは案内の写真や説明に合わせてください。

種類基本の考え方確認するポイント
振袖本だたみを基本にする長い袖を引っ張らず整える
浴衣着物と同じ流れでたたむ衿や袖の位置をそろえる
長襦袢元の折り目に沿う方法もある折り目や衿の重なりを見る
袴形や返却案内に合わせる保管用かレンタル品か確認する
着物の種類別に見るたたみ方の考え方

表のとおり、振袖や浴衣は着物の本だたみを土台にしつつ、袖や衿の形を整える点が異なります。長襦袢は元の折り目、袴は保管方法や返却案内を手がかりにすると迷いにくくなります。

たたむ前に衣類の種類を確かめ、縫い目や折り目を見てから手を動かしましょう。レンタル品は保管用の方法を当てはめず、返却時の案内を優先して確認するのが安心です。

着物と浴衣のたたみ方を、衿部分のアップとあわせて確認できる動画です。文章だけでは迷いやすい衿の扱いを映像で見てから、手元の衣類に合わせてたたみましょう。

動画: 着物&浴衣のたたみ方♪〜えり部分のアップ付き〜(くまみき/Kumamiki)

着用後は陰干ししてから着物をたたむ

直射日光を避けて風通しのよい室内で陰干しする

着用後、すぐにたたんでよいのか迷うこともあります。汗や雨による湿気が残ったまま折り重ねると、乾き具合を確かめにくくなります。まずは袖や裾を広げ、着物全体に風を通す時間をつくりましょう。

着用後は直射日光の当たらない場所に掛け、湿気を取ってから汚れを確認します。窓辺のように日差しが差し込む場所は避け、空気がこもりにくい室内を選びましょう。暖房の風が直接当たる場所も、乾燥や生地への影響を考えて避けると安心です。

きものやまとは、直射日光の当たらない風通しのよい室内で、半日から一日陰干しする方法を紹介しています。着用時に汗をかいたり、雨に当たったりした場合は、湿り気が残っていないかを確かめてからたたむとよいでしょう。

全体の汚れを確認し、気になる箇所は収納前に相談する

陰干しを終えたら、着物を広げた状態で全体の汚れを確認します。特に衿や袖口、裾は肌や床に触れやすい部分です。表側だけでなく、裏側や縫い目の近くまで目で追うと、見落としを減らせます。

確認するときは、明るい場所で布の色や柄を見ながら、食べ物や飲み物の汚れ、泥はねがないかを探します。着用中に何かをこぼした、雨に濡れたといった心当たりがあれば、その周辺も見ておきましょう。汚れの場所や範囲を覚えておくと、相談時に説明しやすくなります。

汚れを落とそうとして強くこすったり、水をつけたりすると、生地や染め、加工に影響する場合があります。見つけた汚れはその場で処置せず、素材や状態に合う方法を着物を扱う専門店に相談してから決めるのも一つの方法です。金銀の加工がある着物は、特に自己流の手入れを急がないようにしましょう。

たたんだ着物はたとう紙に包み、帯も分けて保管する

たとう紙で包み、湿気やほこりを避けて収納する

たたんだ着物は、たとう紙に包んでから収納します。たとう紙は通気性があり、ほこりや汚れを防ぐ役割があると、きものやまとが案内しています。包む前に着物の端がはみ出していないか、紙の上で整えておくと収まりを確認しやすくなります。

収納するときは、たとう紙が湿っていないかを確かめ、湿気がこもりにくい場所を選びます。紙に汚れや傷みがあれば、着物に触れる前に取り替えると安心です。たとう紙に包んだ着物を重ねる場合も、上から強く押さえつけず、形を崩さないように置いてみましょう。

紋や金銀の加工がある部分には薄紙や和紙を挟む

紋や金銀の加工がある着物は、加工部分がほかの生地に直接触れないよう紙を挟みます。京染卸商業組合は、収納に合わせて小さく折る場合、紋に薄紙を当てる方法を紹介しています。たとう紙に包み、加工部分を紙で守るのが収納前のひと手間です。

金銀の加工部分には和紙を挟む方法もあります。京都和装産業振興財団は、金銀の加工がある着物に和紙を挟むと、光沢が長持ちすると案内しています。紙を当てるときは、加工面をこすらず、折り目や重なりで負担がかかっていないかも見ておきましょう。

帯は素材や折り目、付属の案内に合わせてたたむ

帯は着物と同じ手順でたためるとは限らず、素材や形、仕立てによって扱いが異なります。折り目が付いている帯は、元の折り目を確認して沿わせると、不要な折れを増やしにくくなります。力をかけて折り込まず、帯の状態を見ながら整えましょう。

購入時やクリーニング後にたたみ方の案内が付いている場合は、その指示を先に確認します。案内が見当たらず、芯のある帯や装飾のある帯で迷うときは、無理に小さく折らず、購入先や専門店に扱い方を尋ねる方法もあります。着物とは分けて包むと、互いの折り目が重なりません。

項目収納前に行うこと
着物たたんでたとう紙に包む
紋や金銀加工のある着物加工部分に薄紙や和紙を挟む
帯素材や折り目、付属の案内を確認する
着物や帯を収納する前の確認

着物はたとう紙で包み、紋や金銀加工がある場合は、その部分に紙を当ててから収納します。たとう紙はほこりや汚れを防ぎ、通気性もあると案内されています。

帯は着物と同じたたみ方に決めつけず、素材や折り目、付属の案内を確認するのがポイントです。収納前に対象ごとの扱いを分けて確認すると、折り方に迷いにくくなります。

着物のシワを防ぐために折り目と仕上がりを確認する

縫い目や衿の位置がずれたまま重ねていないか見る

折り終えたら、すぐにたとう紙へ包まず、着物の上面を見渡します。背縫いが中心に通り、左右の脇縫いが重なっているかを確認しましょう。肩から裾まで縫い目を目で追うと、途中で折り線がずれていないか見つけやすくなります。斜めに引っ張って直すと別の部分が崩れやすいため、気になる箇所を少しずつ整えます。

衿は左右の重なりがそろい、先端が身頃からはみ出していないかを見ます。袖も、身頃の端と袖の端が大きくずれていないか、袖口が折れ込んでいないかを確認します。表面だけでなく、重なった部分の端を目で追うのが目安です。袖の片側だけが外へ出ていると、たとう紙に包んだときにそこだけ厚みが出ることがあります。

収納前に衿・脇縫い・袖の重なりを見直し、ずれがあれば折り直します。着物を強く引かず、ずれた部分を持ち上げて縫い目や折り目を合わせると、ほかの箇所を崩しにくくなります。直した後は、背縫いから袖口まで一度見直しましょう。折り直しを急がず、平らな場所で布を整えていけば大丈夫です。

収納場所に合わせて小さく折るときは紋や加工部分を保護する

収納場所に合わせて小さく折る場合は、折り目が増える前に、紋や刺繍などの飾りが折り線に重ならないか確かめます。通常の本だたみで収まりそうなら、無理に折り足さない方法もあります。収納場所の幅だけで決めず、折ったときに飾りへ圧力がかからないかを判断の目安にしてください。

紋のある着物をさらに折るときは、着物の京染卸商業組合が案内するように、紋へ薄紙を当てて保護する方法があります。金銀の加工がある部分には、京都和装産業振興財団が紹介する和紙を挟む方法が役立ちます。紙は加工部分を覆うように置き、折り目が直接当たらない状態に整えましょう。

紙を挟んだ後は、端が飛び出していないか、別の場所へ巻き込まれていないかを確認します。折った着物に厚みの偏りがある、飾りの上に折り目が強く重なる場合は、基本のたたみ方に戻すことも選択肢です。小さく収めることより、布や加工部分に負担をかけないことを優先すると、収納後の折り跡にも気づきやすくなります。

まとめ

着物のたたみ方は、完成形を暗記するより、布が自然に収まる目印を見つけることが近道です。折り方に迷ったときも、着物の状態を見ながら整えれば、次に広げるときの扱いやすさにつながります。

今日は一着だけ、折り目の位置を確かめながらゆっくり整えるところから始めてみるのもよいでしょう。手になじむと、片付けの時間にも静かな余裕が生まれます。

FAQよくある質問

Q
着物をたたむとき、裾はどちら向きに置きますか?
A

本だたみでは、着物を平らに広げ、裾が右側にくる向きに置きます。背縫いや脇縫いを目印にすると、折る位置を確認しやすくなります。

左右の脇縫いや衽の縫い目を合わせながら、順に重ねていきます。縫い目の位置がそろっているか、折るたびに見てみましょう。

Q
浴衣のたたみ方は着物と違いますか?
A

基本の流れは着物と同じで、縫い目を合わせながらたたみます。裾を右にして広げ、身頃や袖を整えて重ねていきましょう。

浴衣は衿や袖がずれたまま重なると、仕上がりが崩れやすくなります。折るたびに衿の形と袖の重なりを確かめると、落ち着いてたためます。

Q
着物は着用後すぐにたたんで収納してもよいですか?
A

着用後は、すぐ収納する前に陰干しして湿気を取ります。直射日光の当たらない、風通しのよい室内に掛けておきましょう。

陰干しの後は、全体の汚れを確認してからたたみます。汚れが気になる場合は、そのまま収納せず、着物の手入れを扱う店などに相談する方法もあります。

Q
収納場所に合わせて着物を小さく折っても大丈夫ですか?
A

収納場所に合わせて、本だたみからさらに小さく折る方法もあります。折り目を増やすときは、着物の縫い目や装飾部分の位置を確かめながら進めます。

紋がある場合は、その部分に薄紙を当てて保護します。金銀の加工がある着物には、和紙を挟んでおく方法も案内されています。

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